
沖縄の方言ことわざは、沖縄の方言が分からないといっている意味が全く分かりません。ただ意味を知ると、思わずうなずいてしまうような名言がたくさんあります。今回はその中から5選を紹介します。
沖縄の方言ことわざ①ウチナーウマジレー チュチネー
【訳】沖御間切は一家内
【ことわざの意味】
「家族でなくても沖縄に住んでいる人はみな家族と同じなのだから、近所に住んでいる人も自分の親・きょうだいと思って仲良く暮らしていかなくてはいけない」
沖縄には「ゆいまーる」という相互扶助の考えがありますが、その精神の原点を短い言葉で説明しているような意味の深いことわざです。
【方言の訳】
- 【ウチナー】沖縄のことです。
- 【ウマジレー】御間切。「マジレー」の元となる言葉は「マジリー」で、街や村のことを意味します。
- 【チネー】家族または家庭の意味があります。「イチマジレー」は「一家族」と訳します。
沖縄の方言ことわざ②シメーシツチ ムノーシラン
【訳】墨を知りてものを知らぬ
【ことわざの意味】
「知識はあっても、常識や物事の道理を知らない」
この方言ことわざでは、どんなにすごい大学を出ても、知識だけで理解しても何も実行できなければ意味がないと諭しています。
勉強はできても社会常識を知らない子の姿を見た親が、わが子を諭すために使ったのかもしれませんね。
【方言の訳】
- 【シメー】学問(墨)のことです。
- 【ムノー】「ムノー」の元となる言葉は「ムヌー」で、「ものごと」と訳します。
- 【シッチ】「知っている」と訳します。
沖縄の方言ことわざ③ミートゥンダー カーミヌチビティーチ
【訳】夫婦はかめの底ひとつ
【ことわざの意味】
「夫婦となった2人はともに支え合って生きていき、あの世に行っても一つの骨壺の中に納められるため離れることはない
このことわざは、沖縄独特の骨壺「厨子甕」の風習がもとにあります。厨子甕は夫婦共有の骨壺で、夫婦2人の骨が1つの厨子甕に納められた状態で墓の中に安置されます。
そのためこのことわざでは「夫婦となった2人は永遠に夫婦である」という意味が込められています。
【方言の訳】
- 【ミートゥンダー】「夫婦」のことです。
- 【カーミ】「カーミ」は壺の意味になりますが、ここでは夫婦用の骨壺「厨子甕」を意味しています。
- 【チビ】「チビ」は一般的に「尻」と訳しますが、「底」という意味もあります。ここでは「底」と訳すのが正しいです。
- 【ティーチ】「ひとつ(一つ)」と訳します。
沖縄の方言ことわざ④フィーフチヌミーカラ ティントーヲウガムン
【訳】火吹きの目から天道拝む
【ことわざの意味】
「火吹き竹の穴から空を眺めても、そこから見えるのは空のほんの一部に過ぎない」
このことわざと同じ意味を持つことわざに「井の中の蛙 大海を知らず」「鍵(針)の穴から天を覗く」があります。
【方言の訳】
- 【フィーフチ】火吹き竹のことで、かまどで火をおこす時に使う道具です。
- 【ティントー】「天空」と訳します。
沖縄の方言ことわざ⑤ウコードウ コーコー
【訳】御香こそ孝行
【ことわざの意味】
「親孝行ができなかったことを嘆くのではなく、あなたが生きているかぎり亡き親を想い、親の供養を続けていきなさい。それは生きているうちに親孝行していることと同じことなのだから」
沖縄のあの世の考え方には、「あの世とこの世は同じである」というものがあります。
つまり「あの世とこの世はつながっており、亡くなった人はあの世で生きている時と同じ暮らしをしている」という考えがこのことわざのもととなっています。
このことわざからも分かる通り、沖縄では先祖供養をとても大切にしており、先祖供養の必要性を分かりやすく諭しているのがこのこと方言ことわざといえます。
【方言の訳】
- 【ウコー】方言で「線香」のことをいいます。ここでは故人の供養を意味します。
- 【コーコー】親孝行のことです。