沖縄のお盆は、旧暦の7月15日に行われます。これだけでも、全国的に見れば珍しいのですが、お供え物はもっと独特!呼び方も、見ただけでは何のことだかわからないものだらけで、とっても面白いです。
沖縄では、お供え物は仏壇に飾り付ける

全国的に見れば、お盆のお供え物は精霊棚に飾るものですが、沖縄では、仏壇にダイレクトに飾ります。
だから、大きな家になるほど仏壇は大きく、豪華な飾りになります。
仏壇の両サイドにスイカを2玉お供えする
沖縄では、旧盆の時期になると、スーパーに大量のスイカコーナーが出現します。しかも、カットフルーツではなく、まん丸のスイカです。
さらに、スイカを購入する人は、必ず2玉購入します。これは、すべて仏壇にお供えするもの。
沖縄では、お供え物は対で準備するのが一般的。そのため、仏壇にお供えする用のスイカも、対となるように2玉買っていくのです。
スイカの下に敷く「ガンシナ―」
旧盆期間中のスーパーのスイカ売り場で必ず見かけるのが、「ガンシナ―」と呼ばれる道具。縄を編んで輪のようにしているのですが、これを、スイカの下に敷いて、仏壇にお供えします。どうしてガンシナ―でなければいけないかというと、スイカがご先祖様のお土産だからです。
ガンシナ―は、昔、大きな荷物を運ぶ時に使った道具。頭の上にガンシナ―を乗せ、その上に荷物を乗せることによって、大きな荷物でも安定して楽に運ぶことが出来るようになります。考えられてますね!
仏壇のわきには長いサトウキビを飾る
サトウキビは、沖縄では最もポピュラーな農作物です。そのため、比較的簡単に手に入る上に丈夫ということもあって、昔の人は杖代わりにしていたそうです。
そんなこともあって、お盆の仏壇には、あの世にお帰りになるご先祖様の杖として、長めにカットされたサトウキビを飾ります。この時に飾るサトウキビを、「グーサンウージ」といいます。
ちなみにお土産用のサトウキビは、「チトゥ」と呼ばれ、手頃な長さにカットされた状態で、スーパーでは販売されています。
沖縄のご先祖様は、仏壇のお供え物をお土産として持って帰る
沖縄のお盆では、大量のお供え物をご先祖様へのお土産としてお供えします。律儀な沖縄のご先祖様は、これらのお土産を、全部あの世に持って帰ります。
だから、お土産を持ち帰るためのものも、あらかじめ準備しなければいけません。
- 葉生姜
沢山の食べ物をお供えする沖縄のお盆では、食事としてのお供え以外に、お土産としての食べ物も準備します。こうした食べ物のお土産が腐らないように、「葉生姜」をお供えするのも、沖縄の風習です。ちなみに沖縄では、食べ物が腐ることを「ヤナムン(悪いもの)」といいます。
- ンバサ
お土産を包んで持ち帰る時に使うといわれています。これも、スイカ売り場のあたりでよく見かけます。
- ウークイカーサ
ンバサ同様、お土産を包む道具として使います。クワズイモと呼ばれる植物の葉です。山に行くと、簡単に見つかります。
- ソーローメーシ
- ご先祖様専用のお箸です。こちらも、基本はスーパーのスイカ売り場で見かけます。
沖縄のお盆にお供えする果物は、緑色のもの限定

沖縄のお盆では、果物もお供えします。でも、本土のお盆と違って、どれも緑色をしたものばかりです。
- 青バナナ
熟していない青バナナは、仏壇へのお供え物の定番です。そのうえ、熟した黄色いバナナよりも値段が高く、しかも、1房が大きいのが特徴です。
- 青切りミカン
緑色をした青切りミカンも、お盆のお供え物の基本です。この時期になると、冬でもないのに、沖縄のアンマーたちの買い物かごへ放り込まれていきます。
- 青切りパイン
実よりも葉の部分のサイズが大きい青切りパインは、お供え用のパインとしてスーパーでは販売されています。生食では食べられないのですが、観光客がよく訪れるスーパーでは、間違って購入しようとする観光客の姿をよく見かけます。
沖縄のお盆はお供え物の準備だけでも大変
沖縄のお盆は、この世のお客様とあの世のお客様をおもてなしする日。そんなこともあって、仏壇のある家では、今回紹介したお供え物だけでなく、お中元をもって仏壇にあいさつしに来るお客様のおもてなしの準備もしなければいけません。
そして、これだけ大変なことをすべてやらなければならないのが、沖縄の長男嫁。だから、沖縄の長男嫁っていうだけで、嫁同士の中でも尊敬されるのが沖縄なのです。