
早期退職後の第2の人生を、冬も暖かく、のんびりとしている沖縄で始めようという人が増えています。でも、本土と陸路でつながりがない沖縄だからこそ、実現前にやっておきたいことがあります。
沖縄移住者は年間約2万6千人、なのに…
総務省統計局による平成27年の沖縄転入者数の結果が、発表されました。この調査結果によると、1年で約2万6千人が県外から沖縄へ移住してきていることが分かっています。
ところが、この調査には、見落とせないもう一つの結果が含まれています。それが、転出者数。なんと、同年の沖縄からの転出者数も、転入者と同じ約2万6千人となっているのです。
ということは、沖縄での第2の人生を夢見て来沖する人と同じ数だけ、移住に失敗し元の生活へと戻る人がいるということです。
帰る場所が無くなるとどうなる?
第2の人生を沖縄でと考えるのであれば、よほど経済的な余裕がない限り、本土と沖縄を行き来する生活を続けることは不可能です。
なにしろ、沖縄と本土は陸路でつながっていません。ですから、移動に関しては、飛行機または船のどちらかしか存在しません。
となれば、現在住んでいる家の維持管理をしながら、沖縄で新たに生活を始めるというのは、かなり負担が大きくなります。そのため、本土での家や不動産は処分するという人が多くなります。
でも、総務省統計局の調査結果からもわかる通り、いざ移住してきても、失敗して本土へ戻っていく人も多いのが現実です。ところが、その時に問題になるのが、「帰る場所」です。
戻る前提がない状態で沖縄に移住してきているのですから、移住に失敗して本土に戻ろうとしても、そこには帰る場所はありません。しかも、沖縄より安く物件を手に入れるということはかなり難しいはずですから、様々な面で妥協せざるを得なくなります。
たとえ、かつて住んでいたエリアに戻ってきたとしても、一度コミュニティーから外れ、環境も変わってしまっていますから、移住前と同じ生活を送ることが出来る保証はどこにもありません。
沖縄は日本だけど「アメリカー」なところが多い
ウチナンチュのオジイやオバアと話していると、日本なのに外国にいるような雰囲気を感じることが多々あります。そういう時、沖縄の方言では「アメリカ―(アメリカ風)」といいます。
ちなみに、このアメリカーな文化は、日常生活の中でも様々な場所で見られます。
たとえば、お風呂。基本的に、沖縄の古い住宅には浴槽はありません。シャワーのみの設置というのは当たり前ですし、お風呂に入る文化がありませんから、街中には気軽に楽しめる銭湯の姿もありません。
入浴施設やラドン温泉のようなものもありますが、もともと共同浴場を使う習慣がありませんから、中に入ると入浴のマナーの違いに唖然とします。
ほかにも、街の食堂に入ると「アイスワ―ラ―(Ice water)ちょうだい」といってチェイサーを頼むオバアたちや、コンビニの支払いをアメリカドルで引き受けていたりします。
長く住んでいれば、気になることもないようなことですが、いざ移住をしてみると、こうしたひとつ一つが気になるかもしれません。
食文化は明らかに違う
いざ沖縄に住むとなったら必ず直面するのが、沖縄の食文化です。移住直後のわずかな期間であれば、外食を続けていても良いのでしょうが、その場合でも、値段を考えればやはり安く食べられる沖縄の食堂がメインになります。
もちろん、沖縄の食堂ですから、沖縄メニューがメインになります。ですから、安くてボリュームのあるチャンプルー料理が多く登場します。

はっきり言っておきますが、「チャンプルー」料理は、あくまでも炒め物料理。メニューがたくさんあったとしても、そこには秘密があります。
そのため、「ゴーヤーチャンプル」「マーミナーチャンプル」「タマナ―チャンプル」「チキナ―チャンプル」などいろいろな種類のチャンプルーがありますが、どれもおおざっぱに分けると「野菜炒め」です。
もちろん、豚肉料理が多い沖縄ですから、ただのチャンプルーにも肉は使われます。
とはいえ、この場合も基本は、「ポーク缶」とよばれるランチョンミートです。ポーク缶も沖縄料理には定番ですから、ウチナンチュにとっては特に珍しいものでもないのですが、本土出身者にとっては味の濃さなどで抵抗がある人もいます。
他にも、アメリカ軍の統治下にあったころの名残りなのか、沖縄の家庭料理には、缶詰を使った料理が多くあります。そのため、シーチキンやサバの缶詰を箱買いするウチナンチュの姿をよく見かけます。
沖縄料理で使わない食材は、本土で一般的でも値段は高い
沖縄で暮らす移住者の多くは、食文化の違いを克服するために自炊することが多くなるのですが、その時も、食材の購入で苦労します。
ひと通りのものは沖縄でも手に入るのですが、本土で一般的な食材や調味料であっても沖縄ではあまりなじみのないものの場合は、必然的に値段が高くなります。
逆に、沖縄料理で定番の食材や調味料は、思わず「安っ!」とうなってしまうほど安く手に入ります。
とりあえずネット環境は整えておいたほうがいい
沖縄県は、本土と陸路でつながっていません。そのため、新聞や週刊誌も、本土のようにタイムリーに手に入るというわけには行きません。しかも、商品を取り寄せなければならない場合は、思った以上に時間がかかります。
そのため、ネット環境が整っていないと、欲しい情報や商品がなかなか手に入らないという不便さがあります。
台風にも注意が必要です
何しろ、沖縄は本土と違って台風の接近頻度が高いのが特徴です。そのため、地域によっては、台風のたびに停電が起きる地域や、復旧までに時間がかかるエリアもあります。ですから、本土と同じネット環境を確保したいのであれば、都心部に住宅を構えるのがおすすめです。
それでも、沖縄で過ごす時間はすばらしい!
本土とは異なる環境・習慣・文化を持つ沖縄は、いつでも新しい感動や発見に出会うことができるのが魅力です。
沖縄の古い歌に「時代の流れ」という歌があるのですが、そこには「唐の世から大和の世 大和の世からアメリカ世 ひるまさ変わたるこの沖縄」という歌詞があります。これこそが、沖縄がたどってきた歴史。
これからも、日々変わり続ける沖縄の姿を、ゆっくりと穏やかに見守っていくというのも、第2の人生の醍醐味となるのではないでしょうか?